植込ブラシの設計上の注意点 – 工業用ブラシの共伸技研/ブラシビレッジ  植込ブラシの設計上の注意点 – 工業用ブラシの共伸技研/ブラシビレッジ 

植込ブラシの設計上の注意点

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今回は植込式ブラシのお話と設計上の注意点です。

植込み式ブラシは、身近なブラシでも、よく見かけることができます。

もっとも身近な物は、歯ブラシでしょう。後ほどお話しますが、歯ブラシは平線タイプの植込ブラシです。

歯ブラシの様に、樹脂等に多数の穴を開けて、その穴に毛材を植え込むという形のブラシを植込式ブラシと呼びます。デッキブラシや洗車ブラシも植込式ブラシです。

植込式ブラシには、手植え式と、機械式がありますが、現在主流の機械式についてお話いたします。

植込式ブラシは 一見、接着か何かで固定されているように見えますが、実際には、穴の中に、鋼製の『釘』が隠れています。

植込式ブラシは、この釘で毛材をV字にして、たたきこんで、植毛されています。釘には2種類あり、針金を使った『丸線』と四角薄板状の『平線』とかあります。

丸線の方が、毛材をしっかり保持できますし、より太い毛材に対応できるので、まずは丸線で作ることを考えます。平線は、植込み穴の直径が、φ2mm程度のと小さな植込みの時に、使われます。

植込式ブラシの設計時の重要なポイントは、台となる樹脂等の厚みです。台の厚みは、丸線の場合で植込み穴の直径の3倍以上、平線の場合で植込み穴の直径の2倍以上必要です。この厚み部分に止まり穴をあけて、その後植毛します。この止まり穴の深さが十分にとれないと、植毛強度が確保できません。

特に注意が必要なのは、ロールブラシの設計時です。植込穴が軸中心に向かって、お互い近づいていきますので、台の表面では離れていても、台の中で植穴同士がぶつかってしまって、製作できないことがあります。ロールブラシの場合も、植込穴の3倍の深さに穴が
掘られると考え、穴同士が干渉しないように設計する必要があります。

ところで、お手持ちの歯ブラシを、もう一度良くごらんください。

植込み穴の両端に、小さく線が出ていませんか?

ちょうど、音符の『ド』の記号みたいに、穴の両側にスジが入っていると思います。

このスジは、平線の釘が使われている証拠です。

また、プラスチックの部分の厚みを、計ってみてください。
おそらく4mm程度あると思います。

歯ブラシの植込み穴直径は、φ2mmかもう少し小さい物が多いですが、やはり、その約2倍の厚みの台になっているという事です。

歯ブラシのプラスチックの部分が、4mmもあるって意外に大きな物だと感じませんか?

一般に売られている植込ブラシの多くは、角に曲面をつけたりして、デザイン的に台が分厚く見えない工夫がされています。

お問い合わせは、お気軽に。